皮膚科向け肌分析機 JANUS Pro:分析結果を活用した施術カウンセリング方法
皮膚施術のカウンセリングでは、患者が訴える悩みと医療従事者が観察する皮膚状態が必ずしも一致するとは限りません。
患者が「肌がくすんでいる」と表現していても、実際には色素沈着より赤みや肌色の不均一さが目立つ場合があります。毛穴が悩みの場合も、皮脂分泌が主な原因なのか、弾力低下や皮膚老化を伴っているのかによって、管理方針は異なります。
JANUS Proは、一般光、交差偏光、平行偏光、385 nm UV光で顔を撮影し、毛穴、しわ、弾力、キメ、色素沈着、赤み、皮脂、ポルフィリンなど、さまざまな皮膚特徴を可視化・分析します。
医療従事者は、これらの結果を患者の病歴、視診、肌タイプ、施術歴と併せて確認し、カウンセリングの参考にできます。
JANUS Proの結果は、疾患を診断したり、特定の施術を自動的に決定したりするためのものではありません。医療従事者の診察と施術計画の策定を補助し、同一条件下で施術前後の変化を比較するための画像分析データです。
1回の撮影で肌悩みの優先順位を確認
JANUS Proは、分析項目ごとのスコアだけでなく、該当する特徴が顔のどの部位に多く分布しているかも表示します。
例えば、全体的な毛穴スコアが良くない場合でも、原因を次のように細分化して考えられます。
- Tゾーンを中心に皮脂とポルフィリンがともに多い場合
- 両頬で大きな毛穴が主に観察される場合
- 毛穴の連結線とキメの低下が同時に見られる場合
- 水分不足と小じわが同時に観察される場合
複数の分析結果を併せて確認することで、患者が最初に改善したい悩みと、医療従事者が優先的に確認すべき項目を区別しやすくなります。
分析結果ごとに参考にできる内容
毛穴: 皮脂、ポルフィリン、弾力、キメを併せて確認
— フラクショナルレーザー、マイクロニードルRF、皮脂調整、角質ケア
しわ: しわの位置、弾力、水分状態を併せて確認し、表情による変化は医療従事者が直接観察
— ボツリヌストキシン、フィラー、レーザー・RFによるコラーゲンリモデリング
弾力: 毛穴の連結性を分析し、実際のたるみと顔のボリュームは医療従事者が直接確認
— RF、超音波リフティング、コラーゲンリモデリング、ボリューム補正
キメ: 小じわ、毛穴、水分状態を併せて確認
— フラクショナルレーザー、マイクロニードリング、ピーリング、皮膚バリアケア
色素沈着: 偏光・UV分析結果を比較し、色素の形態と種類は医療従事者が直接確認
— 色素タイプに応じたレーザー、IPL、ピーリング、外用ケア
赤み: 部位別の赤み分布を分析し、血管性・炎症性病変は医療従事者が直接観察
— 血管レーザー、IPL、炎症コントロール、皮膚バリアケア
皮脂・ポルフィリン: 部位別の分布を分析し、面皰と炎症性病変は医療従事者が直接観察
— ニキビ治療、皮脂・角質調整、必要に応じた光線力学療法の検討
肌色: 色素沈着、赤み、部位別の明度差を併せて確認
— 原因に応じた色素・赤み治療と肌色の均一性管理
水分: キメとしわを併せて確認し、敏感度と皮膚バリア状態は医療従事者が直接観察
— 保湿と皮膚バリア回復を優先し、施術実施の可否を調整
※ 上記の施術および管理方法は、カウンセリング時に参考にできる一般的な例です。実際の施術は、医療従事者が皮膚状態、病歴、肌タイプなどを総合的に確認した上で決定する必要があります。
※ 上記の施術は選択可能なカテゴリーの例です。実際の適用可否、機器の種類、波長、エネルギー、治療間隔は、皮膚疾患、肌色、服薬状況、過去の施術歴などを確認した医療従事者が決定してください。
1. 毛穴結果:皮脂型毛穴と弾力低下型毛穴を区別するための参考資料
JANUS Proの毛穴分析では、毛穴の面積、数、大きさ、顔の部位別分布を確認できます。
毛穴が大きく見えるという理由だけで、すべての患者に同じ施術を行うことは適切ではありません。
皮脂とポルフィリンがともに多い場合
Tゾーンを中心に皮脂とポルフィリンが多く見られる場合、皮脂分泌、角質蓄積、面皰、炎症性病変の併存を確認する必要があります。
皮膚状態に応じて、医療従事者は次のような方針を検討できます。
- 皮脂・角質調整治療
- ニキビ・面皰治療
- 毛穴洗浄およびスキンケア
- マイクロニードルRF
頬の大きな毛穴と弾力低下が同時に見られる場合
頬に大きな毛穴が多く、弾力分析でも毛穴の連結性が目立つ場合、皮脂だけでなく、皮膚老化と真皮の支持力低下も併せて評価できます。
この場合、コラーゲンリモデリングを目的としたフラクショナルレーザーやRF施術などが検討されます。実際の臨床研究でも、フラクショナルレーザーとニードルRFは、毛穴とキメの改善を評価する施術として研究されています。
2. しわ結果:しわの位置と原因を併せて確認
JANUS Proは平行偏光画像を用いて、額、目尻、目の下、ほうれい線などに現れるしわや皮膚の起伏を観察します。分析結果を確認した後、医療従事者がしわのタイプを区別します。
表情を作ったときに目立つしわ
額、眉間、目尻など、筋肉の動きに関連する表情じわには、ボツリヌストキシン施術が検討されます。
無表情でも残る小じわ
光老化、水分不足、皮膚厚の減少に関連する小じわには、皮膚状態に応じて次の治療が検討されます。
- フラクショナルレーザー
- RFまたはマイクロニードルRF
- スキンブースターおよび皮膚再生治療
- 保湿と皮膚バリアケア
ボリューム減少に伴って深くなったしわ
ほうれい線やくぼみを伴うしわは、皮膚表面だけでなく、顔のボリュームと構造も併せて評価する必要があります。必要に応じて、フィラーなどのボリューム補正施術が検討されます。
米国皮膚科学会も、しわ治療としてボツリヌストキシンやフィラーなどを案内していますが、しわの原因と顔の構造によって適切な治療が異なると説明しています。
3. 弾力結果:JANUS Proは皮膚を直接引っ張って測定するものではありません
JANUS Proの弾力分析は、皮膚を吸引したり物理的に引っ張ったりして復元力を測る方式ではありません。
皮膚老化が進行すると、頬の毛穴が円形から楕円形に変化し、一部の毛穴が互いにつながって細い線のように見えることがあります。JANUS Proは、こうした毛穴の連結数や長さなどを画像で分析します。
弾力結果が良くない場合、医療従事者は次の項目を追加で確認できます。
- 実際の皮膚のたるみ
- 顔の脂肪とボリュームの減少
- 皮膚の厚さと光老化
- しわと毛穴の連結性
- 患者が希望する改善範囲
皮膚状態に応じて、RF、集束超音波、コラーゲンリモデリング、またはボリューム補正施術が検討されます。
分析画面に表示される「角度」は、数値が低いほど必ず弾力が良いという意味ではありません。毛穴の連結線が始まる方向は人によって異なるため、弾力の絶対的な判定値ではなく、同じ患者を繰り返し撮影した際の方向変化を確認する補助資料として活用することが適切です。角度の変化から弾力低下の可能性を推測できます。
4. キメ結果:表面の粗さと細かな凹凸を観察
良好なキメの例:

加齢、性別、皮膚状態によるキメの違いの例:

キメ分析では、表皮最上部で反射する平行偏光画像を通じて、皮膚表面の細かな凹凸と線の連結度を確認します。
キメが粗くなる原因はさまざまです。
- 角質蓄積
- 水分不足
- 毛穴の拡大
- 小じわ
- ニキビ跡
- 繰り返す炎症
- 光老化
医療従事者は、キメ結果だけで施術を選ぶのではなく、毛穴、しわ、水分、炎症状態も併せて確認する必要があります。
皮膚状態に応じて、フラクショナルレーザー、マイクロニードリング、RF、ピーリング、皮膚バリア回復、水分補給などが検討されます。皮膚バリアが弱い場合や炎症が活発な場合は、強い施術より先に炎症を抑え、バリアを回復させる判断も必要です。
5. 偏光色素沈着とUV色素沈着:色素の種類を診断する検査ではありません

交差偏光画像は、皮膚内部の散乱光によって、褐色色素と赤みの分布をより明確に示します。UV画像では、一般光や偏光画像で比較的目立たなかった色素関連の明暗と分布が強調されることがあります。
2つの結果を比較することで、次のようなカウンセリングが可能です。
- 現在見えている色素がどの部位に集中しているか
- UV画像で追加的に強調される領域があるか
- 施術前後で検出面積と明度がどのように変化したか
施術前に、医療従事者は老人性色素斑、そばかす、肝斑、炎症後色素沈着、母斑などを鑑別する必要があります。色素タイプと肌色によってレーザー波長、照射方法、エネルギーは異なり、不適切なアプローチは色素の悪化や炎症後色素沈着を招くことがあります。
したがって、JANUS Proは色素の位置と分布を把握し、経過を比較する資料として活用し、最終的な治療計画は医療従事者の診断に基づいて策定する必要があります。
6. 赤み結果:赤みの位置と分布を確認
赤み分析は、画像から赤色を抽出し、相対的に広く分布する肌色領域と赤色領域との色差に基づいて、顔の赤み分布を示します。
赤みが強く表示された場合、医療従事者は次の原因を区別する必要があります。
- 一時的な温度変化や運動
- ニキビおよび炎症後紅斑
- 酒さ
- 毛細血管拡張
- 刺激性または接触性皮膚炎
- 施術後の一時的な皮膚反応
血管拡張に関連する赤みには血管レーザーやIPLが検討されますが、活動性皮膚炎やニキビ炎症が原因であれば、炎症治療と皮膚バリア回復が優先される場合があります。
7. 皮脂・ポルフィリン結果:ニキビ診断値ではなくUV画像指標
UV光下では、通常の皮脂とポルフィリンに関連する蛍光反応が異なる色として観察されることがあります。JANUS Proはこれを基に、皮脂とポルフィリンの数、およびTゾーン・Uゾーンの分布を分析します。
ポルフィリンが多く検出された場合、面皰、炎症性病変、皮膚の油分感と併せて確認できます。ただし、ポルフィリン値だけでニキビの有無や重症度を診断してはいけません。
特に、総皮脂数が少ないとポルフィリン比率が相対的に高くなることがあるため、次の結果を併せて確認します。
- 総皮脂数
- ポルフィリン数
- TゾーンとUゾーンの分布
- 面皰と炎症性病変
- 洗顔およびメイクの有無
医療従事者は、実際の皮膚状態に応じて、外用薬、内服薬、皮脂・角質ケア、圧出、レーザー、光線力学療法などの必要性を判断できます。
8. 肌色結果:単に明るい肌と暗い肌を評価するものではありません
肌色は人種、遺伝的特徴、個人固有の肌色によって異なるため、単純に明るいほど良い肌と評価すべきではありません。
JANUS Proの肌色分析では、顔の部位ごとの明るさと色差を比較し、肌色がどの程度均一に見えるかを確認します。
肌色の差が大きい場合は、次の結果も併せて確認する必要があります。
- 褐色色素沈着の分布
- 赤みと炎症後紅斑
- 目の下の陰影
- 顔の左右の明るさの差
- メイク残り
色素と赤みが同時に存在する場合、1つの施術だけを選ぶのではなく、それぞれの原因を区別して段階的な治療計画を立てることができます。