化粧品研究・皮膚関連論文・製品開発に活用される皮膚分析データ「JANUS Pro Raw Data」とは?
化粧品研究・製品開発に活用できる皮膚分析データ「JANUS Pro Raw Data」とは?
化粧品を開発するうえで重要なのは、単に「肌が良くなった気がする」という主観的な感覚だけではありません。製品の使用前後で肌がどのように変化したのかを数値で確認し、その変化を客観的に比較できることが必要です。
PIE Co., Ltd.(パイ株式会社)の皮膚分析機器は、化粧品企業、皮膚研究所、臨床試験機関、学校、研究者による製品開発や有効性評価に活用されています。
このような研究が可能な理由の一つは、分析結果をスコアだけで表示するのではなく、分析過程で算出されたさまざまなRaw Data(生の測定データ)を提供していることです。
それでは、JANUS ProではどのようなRaw Dataが提供され、それらの数値を化粧品研究にどのように活用できるのでしょうか。
結果スコアとRaw Dataの違いとは?
一般的な皮膚分析結果は、肌状態を理解しやすくするため、スコア、ランク、同年代の平均値との比較などで表示されます。カウンセリングには便利ですが、研究者が細かな変化を確認したり、独自のアルゴリズムで情報を加工・分析したりするには十分でない場合があります。
一方、Raw Dataには、実際の画像解析過程で測定された次のような値が含まれます。
- 分析領域の総ピクセル数
- 検出された皮膚特徴のピクセル数
- 実面積への換算値(mm²)
- 分析領域に対する面積比率
- 皮膚領域全体および検出領域の平均輝度
- 毛穴や皮脂などの検出数
- 毛穴の平均サイズ
- 肌色を表すRGB値およびLab値
- 毛穴連結線の長さと角度
そのため研究者は、最終スコアだけでなく、製品使用前後にどの測定要素がどの程度変化したのかを詳しく確認できます。

顔の部位別分析領域データ
JANUS Proは顔全体を一つの値として算出するだけではなく、額、鼻、目尻、目の下、左右の頬、ほうれい線など、複数の部位に分けて分析します。
代表的なフィールドは次のとおりです。
- Zone_AllPx Forehead:額の分析領域に含まれる総ピクセル数
- Zone_AllMm Forehead:額の分析領域の実面積
- Zone_AllPx Right Cheek:右頬の分析領域に含まれる総ピクセル数
- Zone_AllMm Left Cheek:左頬の分析領域の実面積
これらのデータは、各分析結果の基準となる皮膚領域全体を示します。
例えば、色素沈着として検出されたピクセル数が同じでも、分析領域全体の大きさが異なれば、皮膚に占める色素沈着の比率も異なります。そのため、製品使用前後を比較する際は、JANUS Proを使用して前回と同じ部位を撮影することが重要です。
1. 毛穴Raw Data
毛穴分析では、毛穴スコアだけでなく、毛穴の面積、比率、輝度、個数、サイズに関するデータを確認できます。
代表的な実フィールドは次のとおりです。
- Pore_DataPx Forehead:毛穴として検出されたピクセル数
- Pore_DataMm Forehead:毛穴として検出された実面積
- Pore_AreaRatio Forehead:分析領域全体に対して毛穴が占める比率
- Pore_AllBrightnessAvg Forehead:分析領域全体の平均輝度
- Pore_DataBrightnessAvg Forehead:毛穴として検出された領域の平均輝度
- Pore_Count Forehead:検出された毛穴の総数
- Pore_Size Forehead:全毛穴の平均サイズ
- Pore_BigCount Forehead:大きな毛穴の数
- Pore_BigSize Forehead:大きな毛穴の平均サイズ
- Pore_SmallCount Forehead:小さな毛穴の数
- Pore_SmallSize Forehead:小さな毛穴の平均サイズ
これらのデータは、毛穴ケア美容液、皮脂コントロール製品、ハリケア化粧品、角質ケア製品などの使用前後の変化を確認する際に活用できます。
例えば、製品使用後にPore_AreaRatioが低下した場合、分析領域内で毛穴として検出された面積の比率が減少したと見ることができます。さらにPore_BigCountとPore_BigSizeも低下していれば、大きな毛穴の数と平均サイズの変化をより具体的に確認できます。
ただし、毛穴の平均輝度は肌そのものの明るさを表す値ではありません。検出された毛穴領域が周囲の肌と比較して、画像上でどの程度明るく、または暗く見えるかを解釈するために使用します。
2. シワRaw Data
シワ分析では、目尻、目の下、額、ほうれい線などの部位別に、検出面積と輝度情報を提供します。
- Wrinkle_DataPx Forehead:シワとして検出されたピクセル数
- Wrinkle_DataMm Right Eye Rims:右目尻のシワの実面積
- Wrinkle_AreaRatio Left Under Eye:左目の下のシワ面積比率
- Wrinkle_AllBrightnessAvg Right Nasolabial:右ほうれい線の分析領域全体の平均輝度
- Wrinkle_DataBrightnessAvg Left Nasolabial:左ほうれい線の検出領域の平均輝度
シワは線の長さや面積だけでなく、画像上に現れる陰影の程度とも関係しています。そのため、シワ改善製品を研究する際は、Wrinkle_AreaRatioとWrinkle_DataBrightnessAvgを併せて比較することで、シワとして検出された範囲と視覚的な深さの変化傾向を詳しく確認できます。
これらのデータは、アイクリーム、エイジングケアクリーム、保湿製品、レチノールまたはペプチド配合製品などの使用前後比較に活用できます。
3. 弾力Raw Data
JANUS Proの弾力分析は、皮膚を物理的に引っ張って回復力を測定する方式ではありません。皮膚の加齢に伴い、頬の毛穴が円形から楕円形へ変化したり、互いにつながって細かな線を形成したりする状態を画像から分析する方式です。
代表的なフィールドは次のとおりです。
- EL_AvgLength Right Cheek:右頬で連結した毛穴の平均長
- EL_Count Right Cheek:右頬で連結した毛穴の数
- EL_Angle Left Cheek:左頬の毛穴連結線の平均角度
- EL_Top10Length Left Cheek:左頬で長さが上位10%に入る連結線の平均長
EL_AvgLength、EL_Count、EL_Top10Lengthは、毛穴の連結度合いや長さの変化を確認する際に活用できます。
EL_Angleは、角度が小さいほど必ず弾力が良い、または角度が大きいほど必ず悪いという意味ではありません。毛穴連結線の開始方向は個人によって異なるため、絶対的な弾力スコアとしてではなく、同じ人を繰り返し測定し、方向の変化を確認するための補助データとして活用するのが適切です。
これらのデータは、ハリケアクリーム、リフティング機器、リフティング化粧品、エイジングケアアンプルなどの長期使用前後の変化を観察する際に活用できます。
4. 偏光色素沈着Raw Data
偏光画像は皮膚表面の反射を抑え、目に見える色素沈着をより明確に観察するために活用されます。
代表的なフィールドは次のとおりです。
- SpotPL_DataPx Forehead:偏光画像で色素沈着として検出されたピクセル数
- SpotPL_DataMm Nose:鼻の色素沈着の実面積
- SpotPL_AreaRatio Right Cheek:右頬の色素沈着面積比率
- SpotPL_AllBrightnessAvg Left Under Eye:左目の下の分析領域全体の平均輝度
- SpotPL_DataBrightnessAvg Left Cheek:左頬の色素沈着領域の平均輝度
SpotPL_AreaRatioは色素沈着が皮膚に占める範囲を確認するために活用でき、SpotPL_DataBrightnessAvgは検出された色素が画像上でどの程度濃く、または薄く見えるかを比較する際に使用できます。
美白機能性化粧品、ビタミンC美容液、シミケア製品などの研究では、色素沈着の面積と平均輝度を併せて観察することで、その範囲と濃さの変化傾向を確認できます。
5. UV色素沈着Raw Data
UV撮影は、通常光や偏光画像では明確に見えにくい色素分布を観察するために活用されます。
- SpotUV_DataPx Forehead:UV色素沈着として検出されたピクセル数
- SpotUV_DataMm Nose:鼻のUV色素沈着の実面積
- SpotUV_AreaRatio Right Eye Rims:右目尻のUV色素沈着面積比率
- SpotUV_AllBrightnessAvg Left Cheek:左頬のUV分析領域の平均輝度
- SpotUV_DataBrightnessAvg Right Under Eye:右目の下のUV色素沈着領域の平均輝度
UV色素沈着データは、紫外線曝露に関連する肌の変化を観察したり、美白・UVケア製品の使用前後を比較したりする際に活用できます。
6. 皮脂・ポルフィリンRaw Data
UV光下では、皮脂は明るい色または青色系に、ポルフィリンを含む皮脂はオレンジ色または赤色系に見えることがあります。
JANUS Proはこれらの特徴を分析し、次のようなデータを提供します。
- Sebum_NormalCnt Forehead:額の通常皮脂数
- Sebum_NormalCnt Nose:鼻の通常皮脂数
- Sebum_PorphyrinCnt Right Cheek:右頬のポルフィリン数
- Sebum_Amount T-Zone:Tゾーンの皮脂面積
- Sebum_Amount U-Zone:Uゾーンの皮脂面積
- Porphyrin_Amount T-Zone:Tゾーンのポルフィリン面積
- Porphyrin_Amount U-Zone:Uゾーンのポルフィリン面積
これらのデータは、皮脂コントロール製品、洗顔料、ニキビができやすい肌向け化粧品、毛穴ケア製品などの研究に活用できます。
皮脂は総数だけを見るのではなく、TゾーンとUゾーンの分布を併せて確認することが重要です。また、ポルフィリン比率は一般的に次の式で算出できます。
ポルフィリン数 ÷ 皮脂総数 × 100
ただし、皮脂総数が非常に少ない場合は、ポルフィリン比率が高くても解釈に注意が必要です。ポルフィリン比率だけで判断せず、通常皮脂数、ポルフィリン数、部位別分布を併せて確認する必要があります。
正確に比較するためには、洗顔の有無、化粧品の残留、測定前の待機時間などの条件も統一することが重要です。
7. 肌色Raw Data
肌色データは、通常光画像から部位別のRGB平均値を算出し、それをLab色座標へ変換して提供されます。
- Skintone_RGB_R Forehead:額のRGB R値
- Skintone_RGB_G Nose:鼻のRGB G値
- Skintone_RGB_B Right Under Eye:右目の下のRGB B値
- Skintone_LAB_L Left Cheek:左頬のLab L値
- Skintone_LAB_A Right Cheek:右頬のLab a値
- Skintone_LAB_B Forehead:額のLab b値
Lab値は次のように理解できます。
- L値:肌の明るさ
- a値:赤色―緑色方向の色情報
- b値:黄色―青色方向の色情報
肌色の研究では、単に肌が明るくなったかどうかだけでなく、額、鼻、目の下、頬など、複数の部位間の明るさの差が小さくなったかどうかも重要です。
例えば、製品使用後に平均L値が上昇し、部位別のL値の差が減少した場合、肌が明るくなると同時に、肌色がより均一になる傾向を確認できます。a値とb値を併せて分析すれば、肌の赤みや黄みの変化も数値で比較できます。
これらのデータは、ブライトニング製品、美白機能性化粧品、肌色改善製品、鎮静・整肌製品などの研究に活用できます。
Raw Dataは化粧品研究でどのように活用できるのか?
第一に、製品使用前後の変化を定量的に比較できます
製品使用前と一定期間使用後に同じ条件で撮影することで、毛穴面積比率、シワ面積、色素沈着面積、肌色などの変化を数値で比較できます。
第二に、部位別の効果の違いを確認できます
顔全体の平均値だけではなく、額、鼻、目元、頬などの部位別データを確認できます。これにより、TゾーンとUゾーン、顔の左右、特定の悩み部位などで製品への反応がどのように異なるかを分析できます。
第三に、製品と皮膚データの関連性を研究できます
Raw DataをExcelや統計ソフトに整理することで、使用期間、製品濃度、肌タイプ、年齢層などの条件に応じて測定値がどのように変化するかを分析できます。
例えば、次のような研究設計が可能です。
- 使用0週、2週、4週、8週における毛穴面積比率の比較
- 製品使用群と対照群の色素沈着変化の比較
- TゾーンとUゾーンの皮脂減少率の比較
- 年齢層別のシワおよび弾力指標の変化比較
- 肌色L値と部位別ばらつきの変化分析
- 通常皮脂とポルフィリンの変化に関する相関分析
信頼性の高い比較には撮影条件が重要です
精密なRaw Dataが提供されても、撮影条件が異なれば結果に影響する可能性があります。
そのため、研究または製品使用前後の評価では、次の条件をできる限り統一する必要があります。
- 洗顔の有無および洗顔後の待機時間
- 測定前の化粧品使用の有無
- 撮影場所の温度と湿度
- 撮影する時間帯
- 顔の位置と撮影方向
- 製品の使用期間と使用方法
特に皮脂とポルフィリンは洗顔やメイクの影響を受けることがあり、肌色と赤みは温度、運動、飲酒、外部刺激によって変化する場合があります。
Raw Dataがあるだけで、研究結果が自動的に客観化されるわけではありません。同一の機器、同一の撮影環境、同一の前処置条件、同一の分析基準を維持することで、データの比較価値が高まります。
スコアだけでなく、データで肌を確認します
JANUS Proは、肌状態を分かりやすい分析スコアで提供すると同時に、研究者がより深く活用できるRaw Dataも提供します。
毛穴、シワ、弾力指標、偏光色素沈着、UV色素沈着、皮脂、ポルフィリン、肌色を、ピクセル数、実面積、面積比率、平均輝度、検出数、平均サイズ、RGB値、Lab値などで確認できます。
これにより、化粧品企業や研究者は製品使用前後の変化を詳しく比較し、研究目的に合った指標を選択して、統計解析や製品レコメンドシステムに活用できます。
PIE Co., Ltd.の皮膚分析機器が化粧品企業、皮膚研究所、さまざまな研究現場で活用されている理由は、単に肌を撮影するだけでなく、皮膚画像から確認された変化を研究に活用できる数値データとして提供するためです。
※ JANUS Proの画像解析データは、肌状態の観察および比較を目的とした資料です。化粧品の正式な有効性立証、臨床試験、論文などに使用する場合は、研究目的に適した試験設計、標準化された撮影条件、統計解析、および関連する評価基準を併せて適用する必要があります。